こちらの建物は、斜面地長崎の典型的な場所にあります。敷地が道路面より約3m下がった所に
あります。(ちょうど1階部の高さです。)構造は重量鉄骨造、階数は3階建です。

敷地が1階(1層)分下がっている為、玄関を道路面と同じ高さの2階部分に設け、1階と2階を
ラセン階段で上下につないでいます。
2階に玄関・車庫・浴室等の水廻り、1階に台所・ダイニング・リビング・寝室。3階に子供さん達の部屋と和室です。

私達も長年住宅を造ってまいりましたが、
「新築である事を感じさせず、古さを感じさせてくれる雰囲気にして下さい。」
というリクエストは初めてで、とまどいました。

気持ちを切り換えて、店舗を造る感覚で家を造ろうと決め、真新しい家じゅうの木材の角を
「そりカンナ」という道具で丸め、つぶし、又、真新しい建具にも、わざわざ雰囲気造りの為の傷を入れました。木材の染色も10色もの色を半日がかりで調合したり、手探りで造って行く毎日でした。

この家のご主人は長崎くんち「鯨の潮吹き」の根曵きをされていて、
こよなく愛していらっしゃいました。
家の完成後、出来栄えを大変喜んで頂いておりましたが、
残念な事に、帰らぬ人となってしまいました。
今でも「池下君!ありがとう、ありがとう・・・・。」
と目にいっぱい涙を溜めてお辞儀をされていらした姿は忘れられません。